グローバル化をまぬがれた職人の音色
2009年11月10日サントリーホール
プログラム:ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲/ブラームス ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77/ムソルグスキー「展覧会の絵」ラヴェル編
カラフルな色彩を保ちながら、引き締まった力強い流れを作り出していた《展覧会の絵》。「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ」以降の緊迫感は、「キエフの大門」で壮麗な頂点を築く。ロシア系指揮者とフランスのオーケストラの組み合 わせは、ムソルグスキーが作曲してラヴェル編曲したこの作品に見事に対応しており、この二つの異なった方向性によって、作品の奥行がより深まることを実感させてくれる演奏でもあった。
前半のブラームスのヴァイオリン協奏曲では、オーケストラの反応の遅さが際立っていた。しかし、それでも音楽は重くなったり、暗く淀むことは決してなく、まるで不思議な食感を持った菓子を口にしたときのような、複雑な味わいを堪能したのだっ た。ソヒエフも、大胆なまでにオーケストラ・バランスに手を加え、これまで聴いたことがないような響きを紡ぎ出す。グローバル化を無事まぬがれたオーケストラの響きを、若い職人がアクセントを効かせて調理したといった趣だ。
鈴木淳史
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